
数理工学科では,身のまわりで起こる様々な自然現象や社会現象を,数学および物理学の理解と知識を活用して,モデル化し,解明することを目標としています.
教育理念
現代の産業社会においては,最先端の自然科学と工学技術が相互に,かつ即時的に影響を及ぼしあって著しい進歩をとげており,工学全般の基礎となる応用数学・応用物理学教育の重要性はますます増大している.数理工学科では,工学への応用を常に念頭におき,その基礎となる応用数学・応用物理学を中心として有機的連携のもとに教育と研究を担当する.その教育の基本理念は,人知の最前線である応用数学と応用物理学の基礎的素養と工学への応用力を身につけさせると同時に,自ら問題を発見し解決してゆく意欲と能力をもった人材を育てることである.
教育目的
数理工学科では,応用数学と応用物理学の素養に立って,数理工学の基礎と展開力を身につけさせ,境界領域や新領域を自ら切り拓く能力をもった人材を育成することを目的とする.このために
1.現代工学の基礎となる応用数学と応用物理学の知識をしっかりと教授し,高度産業化社会で活躍するための基本的能力を養う.
2.応用数学と応用物理学のそれぞれの専門分野における最先端の研究に参加させることで,将来,応用的研究や基礎研究にも携わりうる能力と意欲を身につけさせる.
3.専門分野の素養を社会に生かすことのできる倫理観と,グローバルな視点に立って行動できる社会性と国際性を養う.
教育目標
1. 応用数学・応用物理学などの数理工学の基礎知識の習得
2. 国際コミュニケーション能力を高め,異文化と出会う中でも自他を尊重する対話や自己表現力の習得
3. 自然環境や社会環境と適合する科学技術のありかたへの理解
4. コンピュータやネットワークなどを活用する情報技術の習得
5. 数理工学諸分野への理解と問題発見能力の啓発
6. 数理工学の少なくとも一つの分野における高度な専門知識の習得
7. 見出した問題に対して,自主的解決にいたるデザイン能力の習得
数理工学科のカリキュラムにおける主な授業科目は下の表のようになっています.まず1年生では数学,物理学の基礎科目として線形数学,微積分学,物理学,力学を学び,2年生,3年生では数学,物理学の専門科目を学びます.4年生では本人の希望により,卒業研究として数学を専攻するか物理学を専攻するかを決定します.このような方式をとっているので本人の適性を充分見極めてから専攻決定できるという利点があります.また,3年生の科目として数理工学課題実習,数理工学学外実習があります.数理工学課題実習は自分で問題を発見し,自主的に解決するデザイン能力を習得するための科目です.数理工学学外実習は,いわゆる,インターンシップで,夏休みに2週間程度,企業,会社において体験学習を行います.

カリキュラム以外に,国際化時代に十分対応できる実践的な英会話能力を修得するために,実践英語講座やEnglish Caféが学内に設けられています.またTOEICで高得点を取った学生を表彰するTOEIC顕彰も設けられています.

応用解析 研究グループ
Applied Analysis
−スタッフ−
教 授 原 惟行 関数微分方程式論
講 師 城崎 学 複素関数論
講 師 松永 秀章 関数微分方程式論
−グループの概略−
時間遅れをもつ微分方程式の解の定性的性質を,数値シミュレーションを併用しながら解析する関数微分方程式論と,正則写像およびその定義域や値域としての複素空間を解析する複素関数論を研究しています.


数理統計 研究グループ
Mathematical Statistics
−スタッフ−
教 授 栗木 進二 実験計画法
講 師 田中 秀和 統計的推測理論
助 教 丸山 芳人 多変量解析
−グループの概略−
主として,統計的データからどのように推論を行うかという統計的推測理論,その基盤となる確率分布論,また,どのように実験をし,データを集めるかという実験計画法を研究しています.


「定常過程と非定常過程の例」
応用数理 研究グループ
Applied Mathematics
−スタッフ−
教 授 田畑 稔 シミュレーション工学,数理疫学,数理社会学
准教授 壁谷 喜継 偏微分方程式論
助 教 山岡 直人 楕円型偏微分方程式,振動理論,常微分方程式
−グループの概略−
偏微分方程式論を基礎として,理論系研究テーマとしては楕円型偏微分方程式の解構造の解明を,また応用系研究テーマとしては,シミュレーション工学,数理疫学を研究しています.

「2次元外部領域における楕円型偏微分方程式の解曲面」
非線形力学 研究グループ
Nonlinear Dynamics
−スタッフ−
教 授 大同 ェ明 非線形非平衡統計力学
講 師 水口 毅 非線形科学・形の物理学
助 教 福田 浩昭 流体物理・二次元流
−グループの概略−
平家物語にもあるように,この世は諸行無常,すべてのものは時とともに移ろい,その姿と有り様を変えていきます.そこにどんな法則がひそんでいるのかを調べるのが非線形力学という学問です.私たちは,たとえば,ネオンサインのように点滅を繰り返す蛍の群れ,乾いた大地が織りなす多様なひび割れの模様,回転する容器の中の流体が示す精妙なパターンなどの謎に取り組んでいます.

量子物理学 研究グループ
Quantum Physics
−スタッフ−
教 授 魚住 孝幸 X線分光の理論,半導体微結晶の光学的性質
准教授 加藤 勝 超伝導理論,ナノ超伝導の磁束構造
助 教 野場 賢一 量子系の動力学理論,コヒーレント電気伝導
−グループの概略−
私たちは,ミクロの世界の法則である量子力学を用いて,超伝導体,金属,絶縁体などのさまざまな性質を理論的に調べています.とくに光と物質の相互作用,ナノメートルサイズの超伝導体の研究などに力を注いでいます.

「固体の発光スペクトルの超高速変化」 「d波ナノ超伝導体とそのまわりの磁束構造」
固体物性 研究グループ
Solid State Physics
−スタッフ−
教 授 岩住 俊明 固体光物性
准教授 田口 幸広 固体光物性
講 師 三村功次郎 固体光物性(希土類化合物,熱電半導体)
−グループの概略−
光電子・逆光電子分光法およびX線発光分光法を用いて物質の電子状態を直接観測し,遷移金属や希土類化合物などの強相関物質ならびに熱電半導体中の電子が担う様々な固体物理現象を研究しています.研究室の他にシンクロトロン放射光施設を利用した実験的研究を展開しています.
離散数理複雑系 研究グループ
Discrete Mathematics and Complex Systems
−スタッフ−
教 授 兼田 均 応用代数学
准教授 堀田 武彦 非線形動力学
−グループの概略−
線形空間,射影空間における図形,特殊な図形の誤り訂正符合や暗号への応用,非線形を持つ決定論的な法則が生み出す乱雑な運動(カオス)や,ランダムな力と非線形性の競合によって系の持つ秩序度が高まるという現象(確率共鳴)について研究しています.

学科紹介 本並 哲 (学部生)
数理工学科っていったいどんなところ?とよく他の学部・学科の方から聞かれます.他学部・他学科の方から見れば,数学しかやってへんイメージがあるみたいです.でも,実際はそんなことはないです.物理もあります.数理工学科は数学・物理学の知識を用いて,あらゆる自然科学の現象を解明し,生活を良くするためにあります.数学系と物理学系の詳しい研究内容は研究グループの欄をご覧下さい.
また,学科の定員が少ないので,学科内ではみんな仲良くしています.テスト前は一致団結して単位を取りにかかります.25人という少人数制なので,同回の顔と名前はすぐに一致します.学科の先生も個性豊かな先生が多く,授業でわからなかったところも質問にいけば,懇切丁寧に教えて頂けます.
現在は固体物性研究室(物理系)に所属し,金属化合物・半導体などの物質の性質を物理的に研究しています.大学内での実験装置を用いて実験も行いますが,SPring-8などの外部施設を利用した研究も行います.
数学もしくは物理に興味がある方はぜひ,数理工学科を志望してみてはいかがでしょうか??専門の数学や物理は難しいですけど,数学・物理に興味があり,意欲とやる気があれば,数理工学科で十分にやっていけると思います.
数理工学アピール 山根尚弥 (卒業生)
数理工学とは,工学でありながら理学的な要素を含む不思議な学問です.数理工学は本当にさまざまな分野に用いられています.たとえば,つい先頃まで話題となっていた鳥インフルエンザが突然変異で感染力を獲得した場合,感染者は地理的にどのように広がるのか.惑星の運動や膨張を続ける宇宙,そしてわれわれ自身の心臓といった時々刻々と変化している振る舞いは一体どのようになっているのか.このような未だ解き明かされない身近な現象を解明することに数理工学が用いられているのです.これはほんの一部分でしかありませんが,一見するとみなさんが思い描いている工学とはかけ離れているかもしれません.ただ,工学部だから機械の作り方を学ぶと思っているのであれば,それは大きな勘違いです.工学とは,ものを作るための原理を学ぶ学問なのであり,私たち工学を学んだ者は,社会をより利便にするものを生み出す担い手でなければなりません.それゆえ,おそらくどこの工学部へ行っても研究職以外の職業へ実践的に役立つものは学べないと思います.数理工学は純粋な工学ではないかもしれませんが,私たちの生活において最も身近な分野であるといえるのではないでしょうか.
数理工学は工学知識を幅広く学ぶため,どの工学分野にでも通用します.もしあなたが工学のどの分野に興味があるのかを明確にできないでいるのなら,きっとあなたには数理工学が適しているのだと思いますよ.
数理工学科・数理工学分野の卒業生は在学中に身につけた数学と物理学の知識や研究経験を生かし,様々な分野で活躍しています.ただし,近年,学部卒業生のほとんどは本学や他大学の大学院に進学しています.数理工学科・数理工学分野では高校や中学の数学または理科の教員免許(一種免許,専修免許)が取得可能です.また,情報の教員免許(高校一種免許,高校専修免許)も取得可能です.これらを取得して教員となる学生もいます.さらに,学位を取得して大学等の研究機関で活躍する卒業生もいます.



4月はじめに数理工学科のガイダンスがあります.履修申請の方法,大学生活等についての説明があります.


新入生歓迎会
例年4月に行われます.研究室紹介を兼ねたパーティーです.当日は学部,大学院の先輩はもちろん,教員,OBを含め数理工学科をあげて開催されます.
学生面談
毎年1回,各学年の学生アドバイザーとマンツーマンで面談が行われます.成績,進路について,また経済的な問題など様々な悩み,相談に学生アドバイザーが答えてくれることでしょう.なお,相談は随時受け付けています.学生数が少ないからこそ出来るきめ細かな指導が行われています.
卒業研究発表会
4年生にとっては最後の壁です.これに向けて1年間頑張ってきました.
卒業パーティー
卒業式終了後,数理工学科の卒業パーティーが行われます.


数理工学科(工学部)では一般選抜,帰国生徒特別選抜,外国人特別選抜の3種の選抜を実施しています.大阪府立大学工学部の一般選抜は中期日程で行われ,入学試験は例年3月8日です.詳細については工学部のホームページをご覧下さい.また,数理工学科3年生への編入学試験を平成20年度(平成21年度編入学)から行います.
オープンカレッジ
毎年8月に実施されるオープンカレッジでは,当学科の内容に関する詳しい説明の他,教員による体験入学(入門的講義)や研究室訪問等の企画を用意しています.申し込み方法等については工学部オープンカレッジのホームページをご覧下さい.