大阪府立大学 大学院工学研究科 電子・数物系専攻 数理工学分野

卒業生の声

本行 朱音(三菱電機株式会社、2016年入社)

私が数理工学に進学した理由は、進路選択当時、周囲で数学ができる人は魅力的な人ばかりだったからです。府立大学の数理工学でも先生方や先輩、同期の仲間や後輩は、みんな面白くて刺激的でした。大学で本格的に数学を学びたいけど、将来の道を考えて迷ってしまう人は多いかと思います。私はいま電機メーカーで研究職として働いています。入社前の電気機器についての知識は乏しいのですが、熱意があれば就職活動も苦労しませんでしたし、働き始めてからも数学の基礎知識は全てに繋がっていると感じています。何より専門の数学の理論にひたすら向かい合った経験は、研究職に活きています。卒業学科に縛られずに意欲次第で自由に将来を切り開けるところが、数理工学分野の最大の魅力だと思います。

生田 成望(株式会社デンソーITソリューションズ、2014年入社)

私は数理工学科や数理工学分野で論理的に考えることの重要性を学びました。数学や物理の分野では、何かを説明する際、直感的に正しい、なんとなくそうだろうという曖昧な説明で満足せず、誰が聴いても納得できる考え方や論拠を示す必要があります。そのため、非線形物理セミナーを通して、目的達成のためには何をすればよいか、といったことを注意深く考える習慣を身につけました。研究者ではなくSE見習いとしての日々ですが、論理的に考えようとする姿勢は研究だけでなく業務でも活きています。扱ったことがないプログラム言語やシステムに面を食らいましたが、何故こう動くのか、確かめるにはどうしたら良いかを自然と考え動くようになっていたことで、大きな躓きなく対応できています。

小井関 野海(株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ、2014年入社)

私は学部4年次から大学院修了まで、量子物理グループに所属し、宇宙と物理に向き合っていました。私は数値計算ではなく、紙とペンで研究を進めていたので、プログラミングに関しては初心者でした。それでも今の会社にシステムエンジニアとして採用して頂けたのは、研究生活の中で先生方に鍛えて頂いた「説明する力」を評価してもらえたからだと思います。今思い返せば、物理学会での発表やテキサス大学への2カ月の短期留学など、量子物理グループでは貴重な体験ばかりさせてもらいました。その中でも、物理の世界で一流と呼ばれる先生方と共に研究を進められたこと。自分がワクワクできる研究テーマに出会えたこと。これら2つは私の学生生活の宝物です。

本並 哲(シャープ株式会社、2014年入社)

私はSPring-8等の放射光実験施設を積極的に利用している点に興味を持ち、固体物性研究グループを選びました。学生時代はタリウム化合物の電子状態に関する実験的研究をしていました。在学中に物理と数学を幅広く学んだことや実験の進め方を何度も考えたことは、会社での業務に役立っています。実際、会社で行っている機能性材料の研究開発においても、その材料が使われているデバイスに対する専門的知識と同時に物理、数学、化学、電気などの様々な知識が必要です。また、業務の大半は実験なので、実験計画を綿密にたて、要領よく実験することが大切です。今後、対外的な発表や特許の仕事も増えてくるので、学会発表や論文執筆の経験が役立つと思います。みなさんも数理工学分野で学んだことが社会で発揮されることを期待しています。

尾林 千恵(株式会社りそな銀行、2013年入行)

数理工学分野では、一つの答えに向かう数学のみでなく、問題解決に向けて自分なりのアプローチを考える力をつけます。さらに、問題解決のための数学にとどまらず、それが工学域でどのように応用できるかを考える力も求められます。私は大学院で数理統計学を専攻しました。その研究を通して得られた結果は、工学の分野だけでなく、医学や経済学など、様々な分野で応用されていることを知り、とてもやりがいを感じました。大学院修了後も、大学で学んだことを活かした仕事がしたいと思い、今は数学の専門職に就いています。数理統計学の専門的な知識はもちろんのこと、求められている成果を出すために、論理的に道筋を立てていくという姿勢も、日々の業務に役立っています。

梅原 圭太(積水化学工業株式会社、2012年入社)

私は金融工学、交通渋滞の研究を行っていました。どちらも複雑な社会現象を取り扱う研究で、在学中は研究にとても苦労しました。しかし、振り返ると複雑なことを単純化して考える、筋道を立てて考える、つまり論理的思考が必然的に身に付いたと思います。私は技術系採用で入社しましたが、現在は営業の仕事をしています。そんな私が強く思うことは「どの分野でも論理的思考は大事」ということです。卒業後どの分野へ進もうと必ず求められる論理的思考が、数理工学分野だと身に付きます。また、様々な教員免許が取得可能ということも数理工学分野の特徴です。私は中学・高校のそれぞれで数学と理科、計4種類の教員免許を取得しました。私は教師にはならず一般社会の門を叩きましたが、社会へ出る際に多くの選択肢が得られる、それも数理工学分野ならではの特徴だと思います。