背景:
【非線形物理学】
心臓の規則正しい鼓動や雪の結晶の幾何学的な美しさ、 多様な姿の生き物達など、自然の織りなす豊かな事象を 秩序構造の形成過程としてとらえることを考えます。 この秩序構造の形成という現象は、系が外界と物質あるいは エネルギーのやり取りしているような非平衡開放系において 顕著に見られ、そこに現れる秩序構造には、 リズムのような時間的なものもあれば、 パターンのような空間的なものもあります。 それらがどのようにして形成されるかを理解することを目指しています。
 
【動的素子集団】
ここでいう動的素子とは、生物の個体集団が見せる一種の協力現象に対する一つのモデルです。 素子には(生物個体の構造や運動等を表現するような)内部状態を持たせ、 素子間には(生物個体間の物質や情報のやり取りに対応するような) 相互作用を導入した場合、集団がどのような振舞いを示すかを考えたいと思っています。
テーマ:
【家系図ネットワーク】
家系図(生き物の親子関係を線でつないだもの)はネットワークの一種です. まず手始めに,あなたのご先祖様の数が世代を遡るともにどう増えていくか考えてみましょう.10世代前では何人になりますか?では40世代前では?そこから何がいえるでしょう?実は,家系図というものは非常に複雑に絡み合った構造をしているのです.そのネットワークはどれくらい複雑なのかという疑問は有向非循環グラフというクラスに対する数理的な問題として設定することができます.


【名前の分布】
日本人の名字は数万種類あるとも言われていますが,その分布にはある統計的な特徴があります.珍しい名字の種類はありふれた名字に比べてとても(べき的に)多いのです.このことを分布関数がべき則に従っているともいいます.これはなぜだろう?こう言う事を考えるのもありです.で,この特徴は実は名前の分布にも当てはまるのです.この一致は偶然なのでしょうか?それとも背景には共通のメカニズムがあるのでしょうかというような問題も考えています.


【群れのダイナミクス】
生き物が集団で運動すると,単独の運動とは異なる挙動を示すことしばしばあります.例えば,渡り鳥の群れが作るV字型の編隊ですが,ああやって編隊を組むと飛行に必要なエネルギーという観点で楽なんだろうと言われていましたが,実際のデータで検証するのは難しかったのです.しかし,最近になって高性能な測定機器が手軽に利用できるようになってきています.カメラを複数台使った三次元計測システムや,小型軽量なロガーを体に取り付けてデータを取得し,そのデータから対象がどんな行動をしているかを考えるというようなことも研究しています.