なかもず解析セミナー
2018年度
講演者[敬称略] 講演題目 開催日
54 Vitaly Moroz
Swansea University, UK
Sharp Gagliardo-Nirenberg type inequalities in Coulomb-Sobolev spaces [abstract] 12月21日
物部 治徳
岡山大学
外力付き平均曲率流方程式のコンパクトな進行波解 [abstract]
53 山崎 陽平
広島大学
Center stable manifolds around line solitary waves of the Zakharov-Kuznetsov equation [abstract] 11月30日
52 太田家 健佑
大阪大学
空間経済学に現れる非線形微分積分方程式に対する数学解析と数値計算 [abstract] 10月11日
51 下條 昌彦
岡山理科大学
The center problem of reaction diffusion systems [abstract] 7月20日
50 松家 敬介
武蔵野大学
Gray-Scott モデルの離散化および超離散化の時空パターンと平衡解の安定性について [abstract] 6月15日
49 関 行宏
九州大学
球面に値を取る調和写像流方程式の解の爆発について [abstract] 5月8日

2018 年度世話人:壁谷 喜継,菅 徹,谷川 智幸,松永 秀章,山岡 直人,藤本 皓大(学振 PD)

Vitaly Moroz, Sharp Gagliardo-Nirenberg type inequalities in Coulomb-Sobolev spaces

We prove scaling invariant Gagliardo-Nirenberg type inequalities involving Sobolev norms and nonlocal Coulomb type energies. We establish optimal ranges of parameters for the validity of such inequalities and discuss the existence of the optimisers. In one special case our results include a new improvement of the Sobolev inequality by a nonlocal Coulomb term. We also prove that if the radial symmetry is taken into account, then the ranges of validity of the inequalities could be extended and such a radial improvement is possible, which leads to a sticking breakup of symmetry conjecture for the corresponding Euler-Lagrange equation.


物部 治徳, 外力付き平均曲率流方程式のコンパクトな進行波解

本講演では、外力を持つ平均曲率流方程式を扱い、閉曲線及び閉曲面からなる進行波解の存在について言及する。空間2次元においては、外力が定符号の場合、符号変化する場合をそれぞれ考察し、解の存在、一意性および安定性に関する結果を紹介する。また、空間3次元以上の場合、外力に適当な対称性を課し、同様に解の存在、一意性に関する結果を紹介する。なお、本研究は二宮広和氏(明治大学)との共同研究である。


山崎 陽平, Center stable manifolds around line solitary waves of the Zakharov-Kuznetsov equation

一様磁場化プラズマ中のイオン音波の伝搬を記述する Zakharov-Kuznetsov 方程式について考察する. Zakharov-Kuznetsov 方程式は KdV 方程式を2次元化した方程式の1つである. KdV 方程式は安定な進行波である KdV ソリトン解を持ち, この KdV ソリトンは Zakharov-Kuznetsov 方程式の進行波解とみなせる. 先行研究により, 進行方向に直交する横方向に周期境界条件を課した場合, 進行速度が速い KdV ソリトンは Zakharov-Kuznetsov 方程式の進行波として不安定になることが知られている. 本講演では, 不安定な進行波の周りでの中心安定多様体の構成と中心安定多様体上の解の漸近挙動について得られた結果を報告する. 中心安定多様体を構成する上で, 調整変数の非退化性と微分の損失を持つ非線形項が問題となった. これらを扱うために用いた Nakanishi-Schlag '12 の準距離に対する修正と時空間フーリエ制限ノルムについて紹介する.


太田家 健佑, 空間経済学に現れる非線形微分積分方程式に対する数学解析と数値計算

本講演では,経済地理学において経済学者クルーグマン等によって提案された数理モデルを考察する.このモデルは地理空間上での労働者・消費者の移住行動を記述したものであり,経済的要因によって引き起こされる空間的な現象(例えば人口集積や都市化)を説明するための重要な理論モデルと見られている.本講演ではまず,モデルの経済学的な背景を説明する.その上で,大域解の存在と一意性,定常解の安定性解析や解の漸近挙動に関する解析的結果とともに,数値計算による大域解の具体的な振る舞いに関しても報告する.本講演は大阪大学名誉教授八木厚志先生との共同研究に基づく.


下條 昌彦, The center problem of reaction diffusion systems

We discuss the asymptotic behavior of global solutions of reaction diffusion systems, mainly focus on eventually spatially-homogeneous and time-periodic behavior. First, we study the asymptotic behavior and quenching phenomenon of solutions to a two component system of reaction diffusion equations modeling prey-predator interactions in an insular environment. To construct a first integral, we reduce the problem to that of planar polynomial vector fields and apply the Darbouxian theory of algebraic integrability. This part is the joint work with Jong-Shenq Guo. Lastly, we characterize the nonlinearity of general two component reaction diffusion systems that enjoy eventually spatially-homogeneous time-periodic motion, from the point of Lie group. This part is a joint work with Amy Poh Ai-Ling.


松家 敬介, Gray-Scott モデルの離散化および超離散化の時空パターンと平衡解の安定性について

自己触媒反応の数理モデル化の1つである Gray-Scott モデルは, 様々な時空パターンを与える解をもつ反応拡散系として知られている. 本講演では Gray-Scott モデルの離散化および超離散化を紹介し, それぞれの解が与える時空パターンを紹介する. 特に, 超離散化した方程式の解は初期条件とパラメータに制限を課すことでセルオートマトンを与え, Sierpinski ギャスケットを与える解も得られた. また, 離散化した方程式の解が与える時空パターンと平衡解の線形安定性およびTuring不安定性の関連についても議論したい. 本研究の一部は村田実貴生氏(東京農工大学)との共同研究を含む.


関 行宏, 球面に値を取る調和写像流方程式の解の爆発について

球面に値を取る調和写像流方程式は極座標系を介してスカラー値の半線形熱方程式に帰着される. 近年, 有限時間に現れる解の特異性やその延長について活発に研究されている. 特に Bizon-Wasserman (2015) は高次元において後方自己相似解の非存在を示し, Struwe (1988) の一般的結果と合わせて解の爆発が自己相似的とならないことを証明した. 彼らの議論は背理法によるため爆発解の詳細な挙動については言及していない. 本講演では藤田方程式に対して最近講演者によって精密化された手法を応用して典型的な解の構成法を述べる. さらにその解の爆発率が方程式の自己相似的性から決まるオーダーとどれほどずれるかを述べ, 特異点周りで詳細な各点評価について報告する. 本研究の一部は P. Bienart 氏(Bonn大学)との共同研究を含む.



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